真向法に限らずストレッチ運動の解説本には、「背中や腰からではなく股関節から曲げましょう」とよく書いてある。が、その動作ができない人にはそれがどういうことなのかが分かりにくい。
分かりにくい原因はいくつかある。まず言葉の定義があいまいな本が多い。本を書いてる人にとっては自明の言葉が、読む方の理解と食い違っていることが多いのだ。
たとえば、腰から曲げるなの「腰」ってどこなのか。分かっているようで正確には分からないのではないだろうか。骨盤のことなのか、それとも骨盤より上部、背中下部のことなのか。腰から曲げるという表現より、へそとみずおちの真ん中へんで曲げるといった方が分かりやすくないだろうか。
また「股関節」ってどこなのか。骨格図で示されても直接さわることが難しい部分なので、実際には感覚的に分からないだろう。

美宅 玲子 /ミタク レイコさん。ヨガ講師
 かくいう私も股関節から曲げるという動作が体感納得できるようになってきたのはごく最近のことだ。YouTubeで「hina3mita3のチャンネル」という女性ヨガインストラクターの動画を見て、骨盤まわりの柔軟性の彼我のあまりの違いに驚き、どこからどのように曲げているのかを分析しているうちに何となく分かってきたのだ。
骨盤を立て、背・尾骨を反らしたまま、お腹を突き出すようにしながら、上体を坐骨より前方に押し出していく。そして、脚の付け根、いわゆるVゾーンで折り曲げていく。両手の手刀、小指側をVゾーンに当て、突き出した下腹と腿上部で両手をはさんでつぶしていくような感覚といった表現で伝わるだろうか。
いずれにしても文字と静止画像では隔靴掻痒は避けられない。教室で実際にインストラクターから習うのがいちばん早いというのが結論。