漢詩シンガーソングライター 荘魯迅さん



漢詩をギターで歌うレクチャーコンサート」和光大学講師荘魯迅 というチラシが和光大学のカルチャー教室で目にとまりました。それまで知らなかった人ですが、中国語、漢詩が好きなのとギターで歌うというのに惹かれるものがあり、出かけて見ました。
司会は加藤三由紀(和光大中国文化教授)さん。上下黒づくめのチャイナ風ファッションの痩身可愛人。聴衆約80人を前に荘さん元気に登場。12弦ギターで弾き語り出す。背景スクリーンに曲想風景、歌詞をパソコン操作で上映する操作もしながら
ギターをひき、唱う。とても器用、パワフルな人です。

大学の先生によるレクチャーコンサートなので、
漢詩の成り立ち、うたい方、の解説が入ります。
唐時代に頂点を極めた七言絶句は、「平仄」
つまり高く・長い音と低く短い音を交互に並べる
韻律つまり謡うことを前提とした構造を踏まえて作られているとか。司会の加藤先生は中国留学中に学生のコンパで
学生が宴会芸として漢詩朗詠を全員が競うのを見て驚いたそうです。荘さんの漢詩朗詠を実際に聴きました。なんとダイナミックで感情表現豊かなことでしょう。日本の高校では漢詩の授業ではこんなの教えてくれませんでした。目からウロコ10枚ハラハラ落ちました。 

      涼州詞   王翰

葡萄美酒夜光杯  葡萄の美酒 夜光のさかづき
欲飲琵琶馬上催  飲まんと欲すれば 琵琶 馬上に促す
酔臥沙場君莫笑  酔うて砂上に臥すとも 君笑うなかれ
古来政戦幾人回  古来 戦いに往きて 幾人か帰る


かの玄宗が好んでうたい、日本でも有名なこの漢詩を荘さんは
当時の世相を踏まえて、今ならハードロック演奏がふさわしい
のではないかという独自解釈で作曲、演奏する。

かと思うとガンジーのメッセージに感じて、中国語・日本語で
作詞作曲した曲

  「だからこそ 因为..., 才...」

因为心中充满泪水,我们才会放声歌唱。
因为世上存在锁链,我们才会展翅飞翔。
因为前途满是荆棘,我们才会四处流浪。
流浪流浪,流向心中的故乡。

飛んで!飛んで!飛んで!飛んで!
束縛があるからこそ、僕たちは飛べるのだ。
踊れ!踊れ!踊れ!踊れ!
悲しみがあるからこそ、高く舞い上がれるのだ。

      
荘さんは 文化大革命で一家を襲った大迫害を乗り越え、80年代には中国で吟遊詩人として全土で活躍。今日本の大学で漢詩や中国史を教え、各地でライブコンサートも開いているそうです。
我非常感謝了。
こんな素晴らしい先生に教えてもらえる和光学生が羨ましいです。知り合いの学生に頼んで代返聴講したいものだとマジに策をめぐらすマッコウオヤジであります。

漢詩CD買いました。中国語会話サークルで使います。