私の勤務高校は川崎臨海工場地帯にある。周辺にはコンビニが一軒と定食やが一軒あるのみでいたって閑静な環境だ。
暗くて、はやっていなさそうなその定食やに科学の先生とランチにいってみた。カウンター4席しかないちいさな古い食堂。壁のメニューには日替わり定食、しょうが焼き定食500円、いちばん高い麺でも600円とある。中でおばあさんが一人で調理をしている。調理場は広く、設備も本格的だ。
 メニューを品定めしているとおばあさんが「うちのお勧めは日替わりですよ」というのでそれに従った。ほかに客がいないのでカウンター越しの会話が始まった。聞けば77歳、ニコニコと元気のいい話しぶりはとても若々しい。朝6時からランチタイムまで営業しているという。「私はね、いすずの社員食堂の栄養士をしていたの。当時は女性は30歳ぐらいになると肩をたたかれたので、独立しようと思い婿さん自分で探してアタックして給食センターを作り、周辺の工場に営業して拡大していったの。結婚してみたら婿さんにはすでに3人の子供がいることがわかったの。その子達をひきとって育てた。旦那は町内会の役員とかばかりしているので私が経営してきたの。」と驚くような自叙伝を楽しそうに語る。昼の休憩で時間がないので夜じっくり聞きたいなといったら、「うちは夜はやらないの。アルコールも出さない。」というのでお〜残念。では続きはまたの昼席でとお勘定。

本日の日替わりは、煮魚・めざし・たこ・ぎょうざ・奴・しらすおろし・ごぼうと黒豆の味噌いため・海草としじみの味噌汁。感動・感謝のヘルシー、ワンコイン定食です。